光る目を再現した赤いストーンはマストの“ナルガクルガ”

大会議を開いて相談したというくらい苦労した、
ナルガクルガの赤いライン。
東沢
逆ナイロール型っていう下半分に縁があるタイプは毎回人気で、コラボのときには絶対に入れたいと思っていました。ナルガクルガは低い姿勢が特徴なので、下に重心がくるようなデザインになっています。他のモデルは鱗を表現しているものが多いのに対して、獣の毛並みみたいなのが伝わるといいなと思って、斜めに柄が入るような生地を選んでいます。ナルガクルガは目が赤く光るシーンがあるので、この赤い石と、光の流れを表現した赤のラインは、復刻しても絶対になくしたくなかったんですけど……。
藤岡
( 過去のモデルについては )石の部分に関してはいろいろな不具合があったと聞いておりまして……。絶対に入れたいけどうしましょうって、悩み事として伺ってましたしね。今回は欠損しづらい製法で赤い目の光のラインをうまく表現してもらって感謝しています。
早田
私も人気を肌で感じていたので、なんとかしたいという思いで試作品を何パターンも生産し、何度も試験を繰り返して完成したのがこちらです。
切削加工を施した太いテンプルで強い体躯を表現した“ジンオウガ”

一同がこだわったラインがこの部分。
東沢
このモデルも復刻ですが、当時と造形やデザインが変わっていてパーツの角度なども改良されています。ブルーとグリーンの間のような絶妙なカラーの生地を探すのに苦労しました。以前よりも落ち着いたカラーリングになっているのですが、「ここをもっと掘ることはできますか」って何度もお願いして尖らせることにこだわりました。
藤岡
ジンオウガに限らずですが、毎回お会いするたびにサンプルをたくさん見せてもらいましたね。小さいプレートなのでよく分からなくて(笑)、でも東沢さんの言うことを信じてじゃあこれでみたいな。この色にたどり着くまで大変でしたよね。
東沢
このモデルけっこう人気で、色違いのモデルっていうのも出てたり。
藤岡
僕ももっています。
早田
最初のサンプルがあがったとき、つるつるで丸くなってて。鋭角さを表現したかったんですけど、メーカーさんから複雑な断面が理解できませんって言われてしまったので、私が手書きで図面を書いてやりとりしたっていう経緯もあります。「そこまでとんがらせたいの?」って、やや呆れられてましたね。
藤岡
反射して色が出るものなので、エッジがあるかないかでけっこう印象が変わってしまうんですよね。ここのキラッとしたラインは、ソリッドなキャラクターなので重要なんです。
メタルが透ける絶妙なカラーリングの“ゴア・マガラ”
藤岡
復刻するモデルを選んでいるとき、ゴア・マガラは凝った造りだったなあ、けっこう人気があったなってっていうイメージが残っていて、今回もやりたいなと。
東沢
社内でも同じ反応でした。以前のモデルはショッキングピンクを使っていて、細く吊り上がっている形も特徴的で、すごくモンハンぽいなと感じていました。逆ナイロール型っていう下半分に縁があるタイプは毎回人気があるのですが、今の時代に合わせてかけやすいものということを意識して、カーブはなだらかになり、カラーも調整しています。色の濃さにもこだわっていて、芯が透けてみえるように何度もやり直しを繰り返し、メーカーさんとの攻防の末、出来上がりました。
藤岡
中にメタルが入っていて、それが透けて見えるデザインです。うっすら芯が見えるぐらいが今回の落としどころというか、いい感じの濃さにしていただけました。形もかけやすく再調整されているので、新しいゴア・マガラも楽しんでいただけたら嬉しいです。
早田
個人的な話になってしまうのですが、まだ復刻が決まっていなかった頃、新幹線の中でゴア・マガラの初期モデルをかけた方を見かけて、当時苦労したなって思い出すことがあったんです。それがまさかその後、復刻することになるとは。メーカーさんもどうやって作ったんだっけって、っていうところからスタートだったので、最終的にここまでの仕上がりになって安心しました。
女性でも手に取ってもらいやすいベージュカラーの“アイルー”
東沢
アイルーも復刻ですけど、ほぼオリジナルに近くなっていますね。もともとは当時のトレンドに合わせてスクエア型のフレームにしていたのですが、今だとちょっと違うかなと。モンハンとのコラボメガネは、毎回いかつめの男性モデルが多いのですが、女性にも手にとってもらいやすい、可愛いモデルにしたいと思っていました。
藤岡
ベージュの透明感があるところなんかは、すごくかけやすそうですよね。以前のモデルは、このコラボシリーズでずっとやってきた“気軽に掛け替えを楽しむ”というコンセプトに添って、かなりポップな印象でした。今回は主張しすぎずどんなシチュエーションでも使ってもらいやすいと思います。
早田
ちゃんとアイコンも作り直しました。(東沢さんを見て)最初はね……。
東沢
あんまり可愛くなかったんです(笑)。細かいところなのですが、シンプルな分そこに目がいってしまいます。アイルーの顔の写真をたくさん送ってもらって、このアイルーならっていう可愛いデザインになりました。
僕にとってメガネは身体の一部。ずっと使えることが大事
今回のコラボへの思いや伝えたいことなど、お伺いできますか。

藤岡
僕は小学生の頃からずっとメガネをかけているので、メガネは身体の一部みたいなものなんです。ずっとつけられることが大事で、だから今回もそこに一番こだわりました。20周年という節目に高価格帯で発売する以上は、長く使えるものにしたいと。デザインはもちろんですが、あまり圧がかかりすぎずにちゃんとフィットして、みたいな装着感も、早い段階から相談させていただきました。それを全部実現してもらえたので、ここに並んでいるのはどれも大切なモデルです。
早田
藤岡さんから、とにかく掛け心地にこだわりたいというご依頼がありましたので、しっかり応えようと思いました。製造的なことやコスト的な部分で難易度は上がりましたが、メガネとしての機能的な面でもファンの方に愛していただけるような製品を提供することは大事です。そこにちゃんとこだわって取り組めたことがよかったと思います。
東沢
私は商品部に異動になって1年と少しぐらいなのですが、異動してきて最初の仕事がようやく形になって嬉しいです。しかも私は、カプコン製品に育てられたようなものなんです(笑)。昔からずっとお世話になっていたので、こういう形で関われたことが、私の中ですごく大きな体験でした。Webやyoutube等でずっと見てきた方々に監修していただいて、何度も直接やりとりする中で出来上がったものなので、一緒にいいものが作れたことを嬉しく思っています。20周年の企画はまだまだ続くので盛り上げていけたらなと思います。
最後に、藤岡さんの推しフレームを教えてください。
藤岡
どれも思い入れは深いのですが、僕自身は「ブラキディオス」(2012年発売)を壊れるまでずっとかけていたんです。すごく着け心地がよかったのでしょうね。推しというか、自分に一番なじんだメガネでした。今回のラインナップの中でどれかひとつと言われたら、ミラボレアスかな。
繰り返しになりますが、長く愛用してほしくて、シリーズもずっとそれを意識しながらやっています。せっかくコラボしていますので、一緒に息の長い商品を作っていきたいですね。ぜひ手にとってみてください。
対談メンバー
-
株式会社カプコン
エグゼクティブディレクター藤岡 要 氏1993年デザイナーとして入社。1作目となるPS2『モンスターハンター』で初めてディレクターを務めて以来、当シリーズの開発に携わってきた中核メンバー。シリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』では、エグゼクティブディレクター兼アートディレクターを務める。 -
株式会社メガネトップ 商品開発部早田 直純 氏2009年入社。メガネの産地鯖江の自社工場「キングスター工場」で勤務し、
初期モンスターハンターコラボメガネから開発に携わる。 -
株式会社メガネトップ 商品部東沢 楓 氏2015年入社。店舗経験7年、店長経験約1年半を経て、商品部に配属。
モンハン愛が強く、今回のコラボのデザイン等の担当を務める。