Scientist

ベッドフォードホテルの9階、西側の突き当たりの部屋で男は暮らしている。
ホテルの住人からは、「教授」と呼ばれている。

男は4年前、ふらりとこの街にやって来た。
以前はハワイにある、国際的な製薬会社のラボに勤務していたらしい。
細菌研究では世界的権威らしいという噂を耳にしたことはあるものの、
男は自分自身について、まったく語ろうとはしなかった。

昼間は部屋に閉じこもり、数台のディスプレイの前に鎮座したまま何かの研究に没頭している。
夜9時きっかりに階下のBARへ降りて来て、ジン&トニックを2杯飲む。
このルーティンは4年間の間、BARがクローズするサンクスギビングの夜を除いては一度も途切れることはなかった。

しかし、その夜は短針が9の数字を指しても、男がBARに姿を表すことはなかった。
住人たちは訝しがりながらも、各々の時を淡々と過ごした。
まあ、教授にだってそんな夜もあるさ。

日付も変わり、住人たちが部屋に引き上げようとしたその時、男はBARに現れた。
その顔には、憔悴と恐怖の色が浮かんでいる。
ジン&トニックを一息で飲み干し、シルバーのメタルフレームにそっと手を当ててから、男は誰ともなく呟いた。

とんでもない災厄が訪れる。
いいや、この街だけじゃない。世界中でだ。

※ストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

BFH-01 S
  • BFH-01 S
  • BFH-01 S
BFH-01 S
made in JAPAN
¥23,100