左右の聞こえに差があると、さまざまな問題が起こります。

私たち人間の体には、左右2つある器官がいくつかあります。その代表的なものが目と耳です。目を例にして考えると、右目の調子が悪く、右目をつむっていたとしても、左目だけでさほど不自由なく行動できます。とは言え、両方の目で見ているときに比べると、視野が狭くなったり、遠近感に違和感を覚えたりします。また、やがて左目に負担がかかり、左目が疲れるということにもなります。それは耳にも同じことが当てはまります。右耳が多少聞こえにくくても、左耳がきちんと聞こえていればさほど問題になりませんが、その状態が長く続くと、左耳に何らかの影響が出てくる可能性も否定できません。このことから分かるように、目や耳は両方をきちんと同じように使うことが必要になってきます。

左右の耳を同じように使って音を聞くことで、どこから、どのような音が聞こえているのかが正しく分かるようになります。私たちは常にいろいろな音に囲まれて生活していますので、人の話し声や音楽、何らかの発信音や動作音など、自分が聞き取りたい音がどこから聞こえているのか?どの音を聞き取りたいのか?を正しく判断し、聞き分けることができないと生活するのに支障を来してしまいます。また、両耳がきちんと聞こえることで初めて、方向感覚や物や人との距離感などを正しく掴むことができるようになりますし、どちらかの耳だけが疲れてしまうことも防ぐことができます。人間の脳は左右の耳から入ってくる音を常に比較し、左右の音の大きさや遅れなどの違いをもとに、日常生活での行動や人とのコミュニケーションをサポートしているのです。

両耳が同じように、正しく聞こえることが大切ですので、補聴器の購入を検討している方は両耳に補聴器を装用することを検討してみましょう。補聴器は「よく聞こえないほうの耳に装用する」というイメージがあるようですが、実は両耳に装用することで、より効果を発揮します。もし、両耳難聴で片耳装用をする場合は、一般的に聴力の良いほうの耳に装用します。片方にだけ補聴器を装用することによって、左右の聞こえ方にはどうしても差が生まれてしまいます。聞こえ方に少しでも差が出ると、知らない間に耳に疲れが溜まったり、日によって聞こえ方が違ったり、行動や判断に遅れや迷いが生じたりすることもあるので注意が必要です。費用の面や装用感など、考えなければならない面もありますが、正しい聞こえで快適に毎日を過ごすためにも、きちんと両耳で音を聞くということを意識してみましょう。

補聴器と「聞こえ」について

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