難聴のリスクを低減するために、大きな音を避けましょう。

はじめに、聞こえの仕組みについて、簡単におさらいをしておきましょう。私たちの身の回りで発生するさまざまな音は、空気中を伝わって外耳から中耳を経て、内耳にある蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官に届きます。蝸牛という器官はリンパ液で満たされており、そのリンパ液は音が届くことで振動して波を発生させます。その波を有毛細胞という細胞が感じ取り、電気信号に変えて脳に送り届けます。この一連の流れによって、私たちは「音が聞こえる」という感覚を得ることになります。音が大きくなるほど蝸牛を満たすリンパ液の振動は大きくなるのですが、その振動が大きくなり過ぎると、有毛細胞は損傷してしまいます。また、損傷してしまった有毛細胞は、回復することができません。したがって、耳を健やかに保つためには、大きな音をできるだけ避けることが大切です。

私たちは、常にさまざまな音に囲まれて生活しています。私たちを取り囲む音の大きさは、「dB(デジベル)」という単位で表されますが、「避けたほうが良い音の大きさ」とは、どのくらいの音なのでしょうか。耳が聞こえにくくなる難聴にはいくつかの種類がありますが、大きな音を聞き続けることが原因と考えられる難聴が「騒音性難聴」です。そして、騒音性難聴は、85dB以上の騒音がある場所で働き続けている人が発症しやすいとされています。私たちの身近なところで85dB以上の音を発生させるのものは、掃除機や電動ドリル、芝刈り機といったものになります。建築現場や工場などでは、それらよりも大きな音を発する機械や工具はたくさんあるでしょうから、職場の環境が原因で、補聴器の購入を検討している方も実際にいらっしゃるのではないでしょうか。

それらのような機械を使うことがなくても、たとえば、イヤフォンやヘッドフォンなどをして日常的に大きな音で音楽を聴いたりするような人は、難聴になるリスクが高くなるので、音量には注意が必要です。その他にも、必要以上に大きな音でテレビを見たり、ゲームをしたりするといったことや、音の大きなドライヤーやひげ剃りなどを使用するといったことも、できるだけ避けるようにしたいものです。さらに、騒音が気になる場所に長時間いなければならないような場合は、可能な限り耳栓などをして耳を守ることも必要です。もちろん、補聴器を装用するようになってからでも、耳を守るためには上記のようなことを注意することが大切です。

補聴器と「聞こえ」について

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