医師の診察や補聴器の装用を無理強いしてはいけません。

少子高齢化が進む日本では、加齢による難聴でお困りの高齢者が、年々増えていくことでしょう。ご家族の中に、難聴の悩みを抱える高齢者がいらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。一般的に高齢者の難聴は徐々に進行していくもので、ある日を境に、突然聞こえなくなるといったものではありません。ですから、周りにいるご家族が日頃から注意してあげることも、早期の対策には必要不可欠です。

聞こえが悪くなった高齢のご家族が、「聞こえにくくなったので、病院へ行ってくる」といってくれると嬉しいのですが、なかなかそうもいきません。「加齢だから仕方がない」と自分だけで納得し、聞こえにくいまま生活を続けている場合も少なくありません。呼びかけても応答しない、何度も聞き返すといった状態が気になりはじめたら、聴力測定や補聴器の装用を周りから勧めてあげるようにしたいものです。

難聴が進行している高齢者の場合、周囲の人が談笑していても、一人だけ寂しそうにしていることがあります。また、会話が噛み合わずにコミュニケーションが取れなくなってしまうこともあります。聴力が低下することは、脳への刺激の低下につながり、「うつ」や認知症を招く原因になるともいわれています。身近な人がそのような状況になってしまうと、見ている側もやりきれない気持ちになってしまいます。一緒に、楽しく時間を過ごせるように、難聴への対策を本人の目線で考えてあげるようにしましょう。なお、高齢者に対して、無理に病院へ行くように勧めたり、補聴器の装用を促したりするようなことは逆効果になることが多くなるので、注意が必要です。

前向きに聴力測定や補聴器の装用を勧め、それに応じてくれるようになったら、装用している本人と一緒に、補聴器のある生活に慣れていきましょう。聞こえ方や装用感を確認してあげることも、家族としての大切な役割です。慣れるまでは装用するのが億劫に感じられたりすることもあると思いますが、無理に装用させるようなことはせず、我慢強く見守ってあげることが大切です。なお、補聴器を装用したからといって、全ての言葉を理解できているとは限りません。補聴器を装用している高齢者には、いつもよりゆっくり、はっきり話しかけてあげることも忘れないようにしましょう。

補聴器と「聞こえ」について

ページトップへ