​集英社がお届けするリレー連載

子どものメガネ選び これが正解!

Vol.1「知りたい!子どもとメガネ」ママ座談会 [前編] 親からの素朴な疑問に眼科医がお答え

実は分かっているようで知らないことの多い子どものメガネ選び。子育て真っ最中の4人のママが、子どものメガネ作りの前に知っておきたいあれこれや、目の健康を守るために親ができることなど気になる疑問を眼科医に聞きました。

参加したのは……(左から)

LEEキャラクター(専属読者モデル)
星野佑奈さん
7歳の女の子、4歳の男の子のママ。長女が小学校の視力検査で片目1.0、片目0.3と診断され、メガネを作るかどうか悩み中。自身は小学4年生にメガネデビュー。

LEEキャラクター(専属読者モデル)
天本由夏さん
9歳、3歳、0歳の男の子のママ。長男はまだメガネをかけてはないものの、ゲームが好きで視力の低下が心配。またスポーツをしているので適したメガネがあるかも知りたい。

スタイリスト
徳永千夏さん
12歳、8歳の女の子のママ。長女は小学4年生でメガネデビューし、今は運動部なのでコンタクトレンズと併用。体格的にもそろそろ大人用のメガネに移行すべきか悩み中。

集英社『LEE』編集部
内海七恵
13歳の女の子、9歳の男の子のママ。一昨年の長女に続き、長男も昨年メガネに。学校の検診の結果を受け、慌てて作ったものの、本当にこれで正解だったか分からない。

教えてくれたのは……

アイリスター麻布クリニック院長
西之原美樹先生
東京大学附属病院で研修後、東京逓信病院に勤務。2004年。アイリスター麻布クリニックを開業。一万人以上の高校野球球児や野球選手、サッカー選手などアスリートの視力機能向上に携わり、目から身体全体の健康に関するアドバイスも行っている。

日本眼科学会/日本レーザー治療学会
日本麻酔学会 麻酔科標榜医/日本美容外科学会
日本ペインクリニック学会/日本抗加齢医学会員/産業医 等

Q1. 早い時期からメガネをかけると視力が低下すると聞いたことがありますが、本当ですか?

徳永 娘が小4の時にメガネデビューしたのですが、小さい頃からメガネをかけると目が悪くなるという話を聞いたことがあります。

A. メガネは本来の目の機能に戻すためのもの。“メガネをかける=視力が下がる”は都市伝説です。

西之原先生 もともとお子さんの目の調節機能というのはすごく優れていて、見えにくさを感じる場合でも目の奥にある筋肉にぐっと力を入れて、ピントを調整してしまうんですね。また「ピンホール効果」と言って、目を細めることで一瞬見えるようになることもあります。 “メガネをつけると視力が下がる”というお話が出るのは、メガネをつけることでそのピントを調節していた目の奥の筋肉・毛様体筋が頑張るのをやめ、本来の目の機能に戻るから。そうすると、視力が下がったという誤解が起きてしまうんです。

内海 ママ友からも「見えにくそうな時もあるけど、まだメガネはいいかなと思ってる」という声をよく聞くのですが、やはり正しい時期に対処したほうがいいんですね。

西之原先生 はい、やはり無理して見ようとすることを続けていると、視力が下がるケースがありますので、メガネをかけて正しく見るようにするのがベストです。

Q2. 子どもの視力に左右差があり、メガネを作るべきか迷っています。

星野 小1の娘は学校の視力検査で片方が1.0、もう片方が0.3と視力に差があることが分かって。メガネをかけるべきなのかタイミングに悩みます。

A. 6歳くらいのお子さんは、発達の途中という可能性も。眼科での検査&相談をおすすめします。

西之原先生 5歳まくらいでのお子さんの目は割と遠視気味。そこから体の成長とともに眼球も少しずつ大きくなると近視気味に傾き、6歳くらいになると目がほぼ完成してきて、遠視と近視のバランスがゼロの状態、つまり視力が1.0出てくることが、目の成長において理想の形とされています。星野さんのお子さんは片方が1.0出ていて、もう片方が0.3とのことなので、年齢的にまだ成長の過程という場合も考えられます。ただ実際に検査をしてみないと分からない部分もありますので、不安要素があれば眼科での受診が賢明です。

星野 なるほど。やはり一度きちんと眼科で調べてもらおうと思います。

Q3. 医師から「メガネは見えにくい時だけかけるように」と言われました。子どもの目にメガネは負担なのでしょうか?

内海 昨年からメガネをかけるようになった小3息子ですが、お医者さんからは「見えにくい時だけ使いましょう」と言われ、メガネを使うことに不安を感じてしまいました

A. お子さんの目の筋力を引き出すために、メガネに頼らず裸眼でしっかり見ることが大切な場合もあります。

西之原先生 診断された先生に聞いてみないとはっきり分からない部分もありますが、成長期は筋力がどんどん発達していきますので、息子さん自身の目のピント調節機能を鍛えるという意味があるのかもしれません。ちゃんとその子に合うメガネをかけると言うのも正しい姿ですが、見え方などによっては裸眼でしっかりみる時間が大切な場合もあります。視力の出方というのは人によって本当にさまざま。メガネで遠くは見えやすくなったものの、近くは過度に見えすぎてしまい目が疲れる……ということもあるんです。大人の場合もそうですが、両眼で視力が0.6くらいあるのに1.0になるメガネをかけてスマホやタブレットなどを見ると、眼精疲労を起こし逆効果になることも

徳永 タブレット見ているときもメガネはかけっぱなしです……。

内海 うちも同じです!

天本 小3の息子はまだメガネは使っていないのですが、タブレットでゲームをしたり動画を見たりするのが大好きで。近くで見ないようにと何度注意しても治らず(苦笑)。視力の低下が心配です。

Q4. 眼科検診の頻度はどれくらいが理想ですか?

内海 発熱やケガのように目に見えて症状がわかるわけではないので、正直、眼科はつい後回しになりがちです。

A. 半年に1回は検査をしていただきたいです。

西之原先生 学校や会社では春と秋に健康診断がありますよね。あれは大体半年くらいで体に変化が起こるからなんです。もちろんそれは目においても同じで、メガネや目のトラブルの有無に関係なく、今の状態を把握することが大切です

天本 でも、どこか痛いわけでもないのに受診するというのが、なんだか申し訳ないというか……。

西之原先生 もちろんしっかり測ってくれるメガネ店もありますから、まずは相談してみるのもいいと思います。

Q5. 家でも学校でも毎日タブレットを使う子どもたち。目の健康のために気をつけることはありますか?

星野 最近は小学校の授業でも使いますし、休み時間もタブレットで漢字のゲームなどで遊んでいるみたいで、目の負担が心配です。

A. 30〜40分に一回、画面を見ない休憩時間を!

西之原先生 やはり目を休めるというのが一番です。大人は1時間に一回、お子さんですと30〜40分に1回、画面から目をはずす休憩時間を5〜10分取るようにしましょう。この休憩時間は目の奥にある毛様体筋(ピント調節機能の筋肉)をリラックスさせるためのもの。一旦リセットしないとずっと負担がかかり、瞼が痙攣を起こしたり、視力の低下へとつながってしまうんですね。ゲームや動画を禁止したとしても、絶対に隠れて観ちゃいますから(笑)、「やってもいいけどたまには休んでね」など、コミュニケーションとっていただいて、無理なく休む習慣をつけると良いかと思います。そしてタブレットを見るときは、30cmほど距離を取ることも大切です

徳永 コロナ禍の後はタブレットを見る時間もすごく長くなりましたよね。親からの声かけも大切ですね。

Q6. タブレットなどを見るときに、子どももブルーライト対策のメガネをかけた方がいいのでしょうか。

徳永 そもそもブルーライトがなぜ目に悪いのかも知りたいです!

A. ブルーライトは網膜への刺激、白内障などを引き起こす原因に。早いうちからの対策がおすすめです。

西之原先生 ブルーライトが目に良くないとされているのは、主に網膜への刺激や、白内障の起因です。世の中には太陽光だったり、いろんな種類の光があるのですが、青い光というのは中でも一番エネルギーが強い光。例えば卵の白身に光を当てると濁るように、強いエネルギーを持った青い光が目に当たり続けると、だんだん細胞の透明度が保てなくなり、霞んで見えにくくなるという症状が起きてしまうんです。ブルーライトをカットするレンズのメガネというのは、他の度付きメガネのようにわかりやすく効果を実感できるものではありませんが、今や人生100年と言われている時代。早いうちから対策をして、目を大切に使ってもらえたらと思います。

内海 歯は毎日磨くよう気を使っているけど、目のケアは正直、そこまで考えていなかったです…!

天本 確かに、その通りですね。

Q7. 子どもにもサングラスは必要ですか?

徳永 最近、子ども服のブランドなどでも良く見かけるようになりました。赤ちゃん用の小さなサイズも出ていたり。

A. 小さいお子さんにこそ、実は必要です!

西之原先生 紫外線は上からだけでなく、アスファルトの照り返しで下からも。つまり、地面に近い小さなお子さん、ベビーカーに乗った赤ちゃんほど、紫外線の影響を強く受けるためサングラスをかけた方が安心です。最近では、お散歩する犬にもつけた方がいいと言われています。

徳永 なるほど……、スキー場でも照り返しで日焼けしますもんね。

Q8. メガネに抵抗を感じている子ども。嫌がらずかけてもらうにはどうしたらいいですか?

星野 娘は、メガネをかけることに対してあまりポジティブな印象がないみたいで。女の子っていうのもありますし、まだクラスにはメガネをかけている子どもが2〜3人だったりするからかな。

A. ピンポイントでかける時間を設け、その子のペースで徐々に慣らして行きましょう。

西之原先生 親御さんや周りから、いきなりかけなさいと言われると、やっぱりお子さんは抵抗しますよね。例えば「今日は10分だけかけてみよう」、「サッカーの試合を見るときにかけたら、もっと細かく良く見えるよ!」など、ピンポイントでかける機会を作って、少しずつ慣れさせていくというのがいいと思います。メガネというのは、もともと持っている目の実力を戻してあげるもの。かけることで見える世界も可能性も広がるということも、ぜひお子さんに伝えてみてください。

徳永 メガネをかけることがポシティブに捉えられたらいいですよね!

天本 うちの息子はサッカー少年でキーパーなので、ボールが見にくくなることはやっぱりデメリット。必要になったときはそんな風に話してみたいです。

内海 先生、今日はたくさん勉強になるお話をありがとうございました!

次回はメガネ選びのプロに聞く、子どものメガネ選びのコツをご紹介します!

撮影/名和真紀子 取材・文/鈴木絵美 制作/集英社

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