「モンスターハンター」シリーズ20周年を記念して、2024年8月23日にコラボメガネを発売しました。5周年、10周年の節目も含めこれまで何度もコラボを実施し、多くの反響を呼んだ当企画。今回は新発売のマスターモデル3種と復刻モデル5種を加えた、全8種がラインナップ。特別対談では、総監修いただいた「モンスターハンター」エグゼクティブディレクター藤岡要氏と、眼鏡市場開発担当の2人に、モンスターの選出理由や、商品開発におけるこだわりや苦労話などを語ってもらいました。
復刻モデルと新規デザインで構成された、周年らしいラインナップが実現
今回のラインナップに入っているモンスターは、どのような理由から選ばれたのですか?

【MASTER MODEL】(上段左から)ミラボレアス/アルバトリオン/リオレウス
【REMAKE MODEL】(下段左から)ナルガクルガ/ジンオウガ/ゴア・マガラ/ティガレックス/アイルー
東沢
はじめはこれまでのコラボと同じように最新タイトルから人気のモンスターをピックアップしてご提案したのですが、藤岡さんからの周年らしいものにしたいというご意向を受けて選定し直したという経緯があります。
藤岡
20周年のタイミングで過去と同じようなチョイスやラインナップで出すのは、らしくないかなと。初めてコラボした2012年から、ファッションやその日の気分で掛け替えを楽しんでもらうことをコンセプトに、メガネトップの「ALOOK」さんとやらせていただきました。どのモデルも思い入れは強くて愛用してくださるファンの方も多かったのですが、今回は「眼鏡市場」さんにお願いできるということで、これまでより高価格帯で、長く愛用してもらえる掛け心地やデザインにこだわりたいという思いが強かったんです。そこで新規のデザインと、人気モデルの復刻という形で数を絞って今回のラインナップになりました。
早田
コラボメガネというと、アイコンを既存のメガネに付けるだけみたいなものもけっこう多いのですが、私はコラボ初期から、本物のモンスター感を表現したいという思いで、ずっと開発に携わらせていただいています。藤岡さんからのご要望にもありましたが、復刻モデルについても掛け心地を一から設計し直していますので、そこは自信を持って皆さまにお届けできると思っています。
藤岡
今回の復刻モデルのひとつでもあるナルガクルガは当時すごく人気でしたよね。もちろんそれ以外にもファンの方がすごく愛用してくださるっているのは知っていて、今回は色味や掛け心地などを調整しているので、より長く楽しんでもらえるんじゃないかと期待しています。
それぞれのコラボフレームに込められた思いとこだわり
モンスターの特徴をどのように表現したのか、こだわりのポイントをお聞かせください。
正統派ながら肌に馴染む赤と、らしさを感じるディテールが特徴の“リオレウス”

リオレウスの印象的な赤。
生地の厚みを変えることで色の濃淡や奥行きを表現。
東沢
リオレウスといえば赤がポイントですよね。赤のセル(プラスチック)を使ったフレームでもチープなイメージにならないように、形も正統派でいきたいという思いがあって、リオレウスの爪や翼をイメージしたメタルパーツを付けるなど工夫しました。
藤岡
赤の印象は残したいけど、掛けても違和感のないように肌馴染みのいい色にしてもらいたいという希望があったんです。赤の色を少し落としてもらったり、少し茶色を入れてもらったり、光に反射したときにきれいに赤が見えるようにと、細かく調整していただきました。側面にもリオレウスをイメージした鱗がデザインされていて、リオレウスを象徴するアイコンがあしらわれています。そういうディテールも楽しんでもらえるんじゃないかなと。
早田
製作の立場からすると、フロントって顔になる部分なのでやっぱりきれいに磨きたいんです。でもここに金属や模様が入っていると、模様を残したまま磨くのはすごくハードルが高くて。こうやって仕上がったものを見るとかっこよく出来ていて、よかったなと思います。
力強さや重厚感にこだわり、凹凸でモンスターの甲殻を表現した“ミラボレアス”

全員から「かっこいい」の声があがったミラボレアスモデル。
東沢
( メガネを手に取り )かっこいい……。個人的に一番のお気に入りです。ダークカラーがメインで落ち着いた雰囲気にしたいなと思っていました。メタルフレームだとセル(プラスチック)よりアレンジがしやすいので、触ったときに凹凸があってモンスターの表面の質感を感じられるようにしています。形はシンプルなのですが、板状の金属を使用することで、ミラボレアスの力強さを表現しました。
藤岡
「モンスターハンター」を象徴するモンスターとしてまずリオレウスがいます。それと相対的な印象としてシリーズを通して存在するのがミラボレアスなんです。ぱっと見のフォルムは近いのですが、空を飛ぶリオレウスは、セル(プラスチック)の素材で軽やかさを出してもらったのに対し、ミラボレアスはメタルで重厚な感じにできませんかって相談させてもらいました。シンプルだけどサイドの部分なんか凝っていて、リッチで落ち着いた、満足感のあるデザインになっています。
早田
苦労話ばかりで恐縮なのですが、凹凸をきれいに出すのは本当に大変で……。模様が消えないように磨きすぎず、でもきれいに仕上げられるよう、手作業で細心の注意を払って作っていただきました。大変さを知っている人からは、本当によく作ったねって、感心されるほどなんです。
黒と紫のフレームと鋭いエッジで遊び心も満載の“アルバトリオン”

試行錯誤の末に完成したモデルを前に、話が尽きない。
東沢
先ほどの2体とは違って個性的なデザインにしたかったので、今回のモデルの中でも一番荒っぽいというか、逆鱗が特徴的なモデルとなっています。フェミニンにならずかっこいい黒と紫の生地を探すのが大変で、社内のサンプルを掘って掘って見つけ出しました。部分的にラメも入れてもらったり、単調な色のミックスではなく奥行きも出せているかなと思います。
藤岡
アルバトリオンは、2体に比べて個性的なモンスター代表です。どのメガネも長く楽しんでもらうという要素は欠かせないポイントなのですが、デザインに遊びを入れてもよさそうですねというお話はさせていただきました。出来上がってみると意外とおさまりがよくて、正面から見たときと斜めから見たときの表情が変わるのが面白いですよね。
早田
このモデルはフロントの金属の部分が一番大変でした。今回、鯖江でプレスの技術NO.1といわれているメーカーさんにお願いしているのですが、部品の段階ですぐにアルバトリオンのパーツだと分かるぐらい際立っていたんです。工場にお伺いした際、もちろん他のメガネの部品もたくさん作られていたのですが、このパーツは色がつく前から本当にかっこよくて存在感がありましたね。
藤岡
図面の段階は伝わりにくかったんですけど、面白いかもと思って。途中で仮のものを見させてもらったとき、やっぱり面白いって思いました。3体並んだときのバランスもいいし、20周年じゃないとなかなかできないものになっていると思っています。
特徴的な造形ながら、肌馴染みがアップした復刻モデル“ティガレックス”
東沢
復刻モデルですが、今回はもう少し高級感を出したいということで、ブルーとブラウンのカラーリングも以前より落ちついた感じになっています。以前のモデルより、フロントの真ん中にあるブリッジの部分を少し狭くして、レンズは大きくしたので、ちょっといかつめの顔つきになっていると思います。このモデルはファンの方がとても多くて、今回のコラボ情報を公開したときにX(旧Twitter)で写真をあげてくださる方もいらっしゃいました。リニューアルですが、これまでのファンの方にも新しいモデルとして楽しんでもらえるのではと思います。
藤岡
以前のモデルはけっこう派手でしたね。でも今回の表現でも十分ティガレックスを感じられる。印象は変わらないけど実はリニューアルされていて、長く楽しんでもらえる感じにしていただけたかなと。過去にこのデザインが好きだった人にも満足してもらえるし、新しく手にとってくれる人も気に入ってもらえるんじゃないかなと思います。
早田
個人的に、ティガレックスは初期に発売したシリーズの中で最高傑作だと思っていました。その復刻ということでどんなものに仕上がるのかやや心配でもあったのですが、以前購入いただいたお客様にも満足いただける仕上がりになっていると思います。