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追加料金ゼロは、安心の証!技術とサービスで支える眼鏡市場の高品質レンズ

多くの眼鏡チェーンで今や当たり前となった〝追加料金0円レンズ〟。値段が一緒ならクオリティも同じ…と考えがちだが、同じ0円でもその中身はショップによってさまざまだ。たとえば低価格を実現するため、ヒアリングの時間や視力の測定項目を最低限に省力化したり、選ぶレンズや視力によっては追加料金がどんどん上乗せされてしまうなど、そんなケースもよくある話。

その点、眼鏡市場における〝0円〟の設定は明確だ。単焦点・多焦点を問わず〝視力矯正に必要なレンズ〟であれば追加料金はかからない。選べるレンズの幅が広いからこそ、検眼システムにも独自の工夫を凝らしている。

そんな眼鏡市場の追加料金0円レンズは、いかにして企画・開発されているのか? サービスを支え続ける3名のスタッフに、モノ雑誌のパイオニア、モノ・マガジン編集部が迫る!

インタビューに参加してくださった3名。左から営業企画部 副部長の冨澤美奈さん、東日本営業部長の野垣厚志さん、商品本部 商品部マネージャーの積木大輔さん。

眼鏡を本当に必要とする人に安心を届けるための〝0円〟

ーー眼鏡市場は業界内でも早期から追加料金0円レンズを導入していましたが、導入に踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか?

冨澤美奈さん(以下敬称略、冨澤):追加料金0円レンズを初めに導入した眼鏡店は、実は弊社ではないんです。弊社がまだ『メガネトップ』という眼鏡店をやっていた2006年に、とある競合店が東海地方第1号店として静岡県浜松市へ出店しました。そのお店が業界に先駆けて打ち出していたのが、メガネ一式2万円、レンズの追加料金ゼロという価格だったんです。弊社は地元企業でしたので当初は静観していましたが、いざオープンしたら連日の大行列。うちはもちろん、近隣の眼鏡店ではしばらく閑古鳥が鳴く事態になりました。

ーーなんと、それはショッキングな出来事でしたね。

冨澤:静岡というホームタウンで、他県から来た競合店にあっさり負けてしまったわけです。事態を重く見た当時の社長(現会長)は、1ヶ月後の営業戦略会議で「もうメガネトップは辞める!」と即断。「メガネ一式1万8000円で、新しい眼鏡店をつくる」という大号令をかけたんです。それが、眼鏡市場誕生のきっかけです。ブランドを新たに作り、1店舗目をオープンするまでわずか3ヶ月という怒涛の日々でした。

全国での店舗開発や宣伝などを幅広く担当してきた営業企画部の冨澤さんは、『眼鏡市場』の名付け親。TVCM、雑誌広告企画など、同店の宣伝や販売促進をイチから手掛ける。

積木大輔さん(以下敬称略、積木):2006年当時、視力矯正のためのメガネの値段はレンズ代込みで4〜5万円くらいかかるのが普通でした。一連の出来事は、弊社にとって改めて「メガネを本当に必要としている人は誰か?」を考えるきっかけにもなったと思います。メガネを本当に届けなければならないのは、度が強いレンズを必要としているお客様。ならば、その方々にこそ安心してご愛用いただけるメガネを、ワンプライスでやってみようという考えに至ったんです。

ーーなるほど。眼鏡市場の〝視力矯正に必要なレンズなら追加料金0円〟という明確な打ち出しは、そこからきているんですね。

積木:はい。レンズも品質は向上し続けていますが、基本ラインナップはオープン当時から変わっていません。単焦点、多焦点はもちろん、プリズムレンズに至るまで追加料金0円でお選びいただけます。

2005年入社、営業職を経て商品部でマネージャーを務める積木さんは、レンズの企画からレンズの演出什器まで、眼鏡フレーム以外のモノ作りに関わる。『ストレスフリーシリーズ』を長年にわたって企画。

野垣厚志さん(以下敬称略、野垣):私は2006年当時、別の同業他社の立場からブランドの誕生を見ていました。周りの多くの眼鏡店も「どうせ続かない」と予測していたのをよく覚えています。レンズ代だけで4-5万、モノによっては10万円と、その追加価格で利益を得るビジネスモデルが当たり前だった業界ですからね。でも、眼鏡市場の店舗は間もなく全国で爆発的に増えていきました。〝追加料金0円レンズ〟がお客様のニーズを満たしたことは、もはや明白だったんです。それから業界の流れも一気に変わりましたね。

冨澤:折込チラシの価格が当てにならないという、それまでの眼鏡店に対する不安を払拭することが第一歩でした。メガネ一式1万8000円があれば、自分の視力に合った眼鏡が作れる。そのわかりやすさに、きっと安心を感じていただけたのだと思っています。

2011年入社。中部地方をはじめ複数店舗で店長として業績を伸ばし、現在は東日本の地域戦略を担当する野垣さん。最適なレンズをユーザーに届けるための店づくりに、心血を注ぎ続けてきた。

あらゆる〝視生活〟をサポートする幅広いレンズラインナップ

ーー改めて現在の〝追加料金0円レンズ〟の種類を見てみます。まずは最もニーズが多いのは、近視、遠視、乱視、老眼といった単焦点レンズですかね。

積木:はい。眼鏡市場では、すべてのレンズにおいて薄型非球面レンズ(屈折率は1.60 / 1.67 / 1.74 の3種類)を使用し、さらにUV99.9%カット、反射防止コート、防汚・撥水コートの機能が標準で付いています。その中で、近視と乱視の組み合わせや、強度近視の薄型レンズといったケースでも、追加料金がかからないのが大きな特徴です。

ーー現在、乱視で金額を取る企業は思い当たりません。主に中高年をターゲットにした多焦点の『ストレスフリーシリーズ』は、遠近、中近(遠く重視)、中近(近く重視)、近近と4タイプすべてが追加料金0円。これもかなり太っ腹な設定ですね。

積木:現在の『ストレスフリーシリーズ』は、性能をさらにグレードアップさせた2代目になります。実はこの中の『中近 遠く重視』というタイプだけは後から加えたもので、去年までは3000円の追加料金をいただいていました。

ーー2006年当時にはなかったということですか?

積木:そうです。眼鏡市場がオープンした2006年以降、パソコンやスマートフォンが普及して、人々の〝見る〟生活スタイルが急速に変わっていきました。私たちは〝視生活〟という造語を使うのですが、現代人の〝視生活〟によりフィットするレンズをお届けするべくメーカーさんと共に企画したのが、パソコン作業からちょっとした外出までカバーできる『中近 遠く重視』という新しいレンズ。これは2013年に販売開始したもので、業界でもあまりなかったタイプのものなんです。順調に売り上げを伸ばし、2024年にようやく追加料金0円レンズのラインナップに加えることができました。

自社工場で作るプライベートブランドのフレームだけでなく、店頭で取り扱う有名ブランドのフレームにも追加料金0円レンズを選ぶことができる。

ーーそもそもこれらの〝追加料金0円レンズ〟は、眼鏡市場のオリジナル製品として開発しているのですか?

積木:はい。現在は複数の国内レンズメーカーさんで製造していただいています。ただ、メーカーさんの側としても〝追加料金0円〟は前代未聞の試みでしたから、オープン当初は、この価格システムを不安視されるメーカーも多かったため、協力いただけるメーカー様でも取扱いレンズの種類を分けながら対応をさせていただきました。その後、取り扱いフレームの品質向上や接客、検眼システムなどを工夫することでブランド力をつけ、さらに多店舗展開で売り上げを伸ばすことによって、取引メーカーも次第に増え、オリジナルレンズの企画もできるようになったという経緯があります。

野垣:たとえば遠近両用レンズを0円にしたいといっても、やはり相当量の売り上げがなければ、一定の品質を保ったまま原価を抑えることはできないんですよね。

ーーそういえば眼鏡市場は、遠近両用レンズを国内で一番多く売っている眼鏡店でしたよね。

野垣:はい。それだけの売り上げ目標をクリアするためには、レンズの性能や価値をお客様にどうお伝えして受け取っていただくか、さらにその良さをいかに実感していただくかといった、現場スタッフの手腕も問われます。製品開発はもちろん、良質なモノを伝えるための店舗づくりや社員教育という、両輪での努力が必要不可欠でした。

ーー複数のレンズメーカーと取引しているのはなぜですか?

積木:理由はふたつあります。ひとつはリスクヘッジで、天災や事故などによる供給ストップを防ぐため。もうひとつは競争を生むことで、より良い製品開発に繋げるためです。

ーー同じカテゴリのレンズでも、複数のメーカーで製造しているんですか?

積木:そうですね。たとえば眼鏡市場の遠近両用レンズは、視力の度数と眼の年齢との組み合わせによってすべてレンズ設計を変えています。遠近と中近(遠く重視)、中近(近く重視)だと各種36パターン、近近だと9パターンのレンズ設計があるんです。製造するメーカーさんには、これらの基本ラインナップをすべて揃えた上で、さらに各社の特色も出していただいているんですよ。

ーーそんなにたくさんの種類が…!

積木:はい。遠近両用レンズは、度数に眼の年齢別設計も組み合わせることで、使いにくさの要因となる視線移動のストレスを軽減できるんですね。この設計の仕方にはメーカーごとの特色があって、見え方にも若干違いが出てきます。これらを店頭に揃えておくことで、その人により最適なレンズをご提案できる体制を作っているわけです。

ーーつまり何十種類もの高品質レンズを揃え、なおかつそれを量産できることが、眼鏡市場の強みなんですね。

野垣:わかりやすくたとえると、量販店で売っている出来合いのスーツの値段で、ブランド物のセミオーダースーツが買えてしまうようなものでしょうか。このような年齢別設計を組み合わせたレンズを、追加料金0円でお選びいただけるのは、眼鏡市場だけの強みだと思います。

店頭では、目や視力にまつわる様々な情報を伝えるアイケアブックなども配布。

ーーちなみに〝追加料金0円レンズ〟には、オプションで17種類の便利な機能もプラスできるんですよね。

積木:はい。キズやブルーライト対策、カラーレンズや調光レンズといった、視力矯正以外の機能にまつわる部分は、必要な機能だけを選んで、3300〜6600円のオプション料金で加えることが可能です。

冨澤:実はこのオプション機能にも、これまでさまざまなトライ&エラーを重ねているんですよ。例えば今まで廃盤になったものとしては、コロナ禍のときに出した抗菌レンズや、真夏にちょっと冷感が感じられるような『アイクール』などがありました。全く受けませんでしたけどね(笑)。

積木:現場の接客スタッフからは「増やしすぎるな」と怒られることもあるのですが(笑)、17種類という幅広い選択肢から選べる楽しみも、ぜひ味わっていただきたいと思っています。

正しい視力検査とフィッティングでレンズ本来の性能を引き出す!

ーーこれまでのお話を聞くと、最終的には自分の眼に適切なレンズをいかに選ぶかが、大切なポイントになりますね。

野垣:おっしゃる通りです。レンズ品質が向上する一方で、お客様にその良さを実感していただくために、店頭に立つ人間の接客力を上げていくことも営業側の大きな課題でした。そのための取り組みとして、弊社では、眼鏡市場誕生後に『視力アドバイザー』という社内資格を新設しています。これは、最大で28項目の詳細な視力測定が行えるようになる資格なんです。

ーー最大28項目!とても多いような気がします。

野垣:視力測定前の問診では、お客様の普段の〝視生活〟やニーズを探ると同時に、正解を導くために必要な予備測定を行います。たとえば両目を寄せる力、片目を塞いだ時のもう片方の目の動きなど、それだけでレンズの適性がある程度分かるんですよ。つまり予備測定をすれば、視力測定における28項目の中から、どの項目を確認すべきかが判断できます。こういった視力測定を、すべての店舗の有資格者が行えるようにしたのが、当社の視力測定システムなんです。

眼鏡市場 静岡本店の視力測定室は広々として開放的な空間。視力測定機器はもちろん、レンズを試しながら実生活をイメージできる体験コーナーも設置している。

ーー眼鏡を作るときに自分の要望を的確に伝えたり、お店から提案されたレンズの見え方が本当に最適なのかを判断することは、案外難しいものですよね。

野垣:そうですね。実生活で使用するときの違和感をなるべく小さくするために、眼鏡市場の店舗には体験コーナーも設置しています。パソコンや本、茶碗が置かれた机を用意し、そこで実生活をシミュレーションしながら、様々なレンズでの見え方をご体験いただくというものです。特に累進レンズは、実生活で使うことで良さが分かってくるような部分も大きいですから。

ーーそれはありがたい仕組みです!

野垣:当社の追加料金0円レンズでは、単焦点と多焦点の両方において、眼とレンズの位置をオーダーメイドで調整できる『アイポイント調整』も行っています。

眼とレンズの位置を最終的に決める、アイポイントの計測も実施。まさにオーダーメイド!

野垣:これもレンズ性能を正しく実感していただくための、眼鏡市場のレンズならではのサービスです。さらにアイポイント調整を行うからには、正しい位置で掛けていただくためのフィッティングも重要。安価なフレームだと一度曲がったら調整が効かなくなるようなものも少なくないですが、幸い当社は福井県の鯖江市に自社工場があります。しっかり調整ができることを前提に設計したフレームを取り扱っていますので、その点もご安心いただけるのではないかと思います。

ーー安心して購入できる料金設定、高品質なレンズとそのバリエーションの豊富さ、そしてレンズの性能を最大限に活かすための接客と検眼システム。すべてが揃ったところで初めて、追加料金0円レンズが実現するんですね。

積木:はい。それら全ての要素が線で繋がってこその、眼鏡市場品質です。

ーー眼鏡の心臓部ともいえるレンズのことを知ったら、眼鏡市場のメガネについてもっと知りたくなりました。今日はありがとうございました!

眼鏡市場のレンズを支えるレンズメーカー

ニコン・エシロール
精密光学分野のリーダー『ニコン』ブランドのメガネレンズ製品を製造・販売。世界で最も売れている遠近両用レンズ『バリラックス』を日本で販売している。眼鏡市場のオリジナルレンズにおいては、「レンズが人に合わせる」をコンセプトにした高機能な遠近両用レンズ等を開発。

伊藤光学工業
レンズ基材の成形からコーティングまでの全行程を愛知の自社工場で行う、純日本製の高品質なレンズを製造。眼鏡市場においては主に、耐キズコート、ドライブ用、近赤外線カット、偏光レンズといった様々なオプション機能性レンズや、遠近両用レンズなどの製造を手がける。

HOYA
1941年に国内初の光学ガラス専門メーカーとして創業し、1962年より眼鏡レンズの製造をスタート。眼鏡市場においては、同店初のオリジナル遠近両用レンズとなる製品を2008年に製造し、近年では目の年齢に合わせた設計を組み込んだ高機能な遠近両用レンズなども開発。

モノ・マガジン
1982年創刊の老舗モノ情報誌。
クルマ、文具、眼鏡、アウトドアなどのような身近なモノから、ウルトラマン、ゴジラのような日本独自のカルチャーまで幅広いテーマの特集が特徴。モノ、コトにまつわる誕生秘話や開発ストーリーなどまで掘り下げた奥深い情報を伝えています。
https://www.monomagazine.com/
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